第80章 5000万円の買収金

「でたらめを言うな! 父さんがそんなこと言うはずがないだろ! お前こそ戯言だ! 家を取り仕切ることにかけちゃ、俺ほどの人間はいない。俺が当主になるのが一番なんだ!」

中山正志が氷のような声で言い放った。

「嘘なんかついてないわ」

中山紗奈は即座に切り返す。

「父さんが直に言ったの。あなたは見かけだけで、中身は空っぽ。できる男のふりをしてるだけの役立たずだって」

「そんなあなたに当主を任せたら、3年もしないうちに中山家は潰れる。父さんはそう断言したわ」

「ふざけるな!」

中山正志が怒鳴り散らす。

背後に控える中山家の人間たちが、ざわざわと囁き合い始めた。迷いが、空気に滲む。

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